荒川三山〜塩見岳〜蝙蝠尾根周遊プロジェクト


 2007号 計画

 今回の山行計画を練るにあたり、@e−sin氏の塩見岳と荒川三山の未走区間をを繋ぐこと、AM氏の蝙蝠岳山頂に立つことがテーマの核とされた。 かなり早い時期からe−sin氏によって綿密な計画が練られ、二軒小屋ロッジ前泊、山中2泊して二軒小屋へ帰還する強行行程が決定されていた。
 都合3日間に渡る一日当たりの平均歩行時間は9時間を超えることが予想されたが、10kgオーバーの荷を背負い、この行程への挑戦に耐えうる体力を持ち合わせていると考えられた昨年の、高天原温泉山行メンバー5名が再集結されたのであった。(e−sin氏、N女史、M氏、I女史、KAZU氏) 
 メンバーの中には、この設定コースに恐れおののき、密かに日々訓練を重ねた者も居たらしい・・・ 
 そう、その計画の別名は「荒川三山〜塩見岳〜蝙蝠尾根周遊プロジェクト」と名付けられたのであった。←ウソですよ   

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2006/9/2 鏡平小屋前にて


 日程

 2007年8月3日(金) 下田6:00−二軒小屋4:00
         4日(土) 二軒小屋5:00−高山裏避難小屋16:00
         5日(日) 高山裏避難小屋−塩見小屋
         6日(月) 塩見小屋4:00−二軒小屋12:30  下田帰着10:30頃


 見えざる敵出現

 7月15日紀伊半島・潮岬をかすめ、東海や関東の一部を暴風域に巻き込んだ台風4号の豪雨被害は、今回の山行にも少なからず影響をもたらした。通常であれば畑薙第一ダムまで自家用車で進入できるのだが、およそダム1km手前で県道60号・南アルプス公園線が幅、高さとも100mに渡って路面が崩落。畑薙ダムから二軒小屋にかけても大小86カ所に及ぶ大雨による土砂の押し出しも発生。二軒小屋にあっては、送電設備の損壊で停電が続く事態となった。また、決行日直前に台風五号も発生し、日本列島直撃は免れない状況とも重なり、相次ぐ台風という想定範囲外の敵によって本計画そのもの決行が危惧された。


 復旧そして決行

  まさにこれからが夏山シーズンかきいれどき、台風4号被害の早急なる復旧が求められたが、関係機関の鋭意努力により、二軒小屋ロッヂでは7月27日夕方に電力が回復。続いて崩落箇所に歩行者用仮設通路が完成し、8月2日午前8時から歩行者のみの通行が可能となった。我々としても復旧にご尽力された関係機関の皆様に敬意を表すとともに、本山行計画は変更なしで決行されることとなった。
 台風5号の針路も気がかりではあったが、予報より西よりのコースをとったため、こちらも問題なしの判断が下されたのであった。


以下に、今回行程の主要山嶺の概要をとグーグルマップの概念図を記すこととする。


 荒川岳

荒川岳は別名荒川三山とも呼ばれる、いくつかのピークの集合体である。「三山」と呼ぶ場合は以下の3つの山を指す(以下、高さ順ではなく西から東への位置順に記す)。

更に、その東側に位置する以下の2つの小ピークも荒川岳の一部分と考えられる

三角点があるのは中岳と千枚岳だが、標高は悪沢岳がもっとも高い。 それぞれに独立した名前はあるが、実際には稜線上の小ピークであり、悪沢岳と中岳のあいだを除けばピーク間の距離は短く、鞍部の落ち込みも少ない。したがって、全体を「荒川岳」または「荒川三山」という一つの山と考える方が適当であろう。因みに、深田久弥が日本百名山に数えているのは、「悪沢岳」であって、「荒川岳」ではない。悪沢岳の頂上には、静岡県により「荒川東岳」の標識が立てられているが、深田久弥はこれを「悪沢岳」と呼ぶ事を推奨し、他の山と区別しようとしている様に見受けられる。しかし、実際に歩いてみると上記の山々は一つの山塊を作っており、風貌も同じで、一つの山と扱ったほうが分かりやすいように見える。

荒川岳一帯氷河によって削られた地形であるカール(圏谷)が数多く見られ、また高山植物の非常に豊富な山としても知られている。カールの中腹や底は、いずれも大規模な高山植物のお花畑となっており、特に中岳、前岳から荒川小屋に下る斜面では、規模の大きなお花畑の真ん中を登山道が通っているため、盛夏には花のじゅうたんに囲まれながらの登山を楽しむことができる。

上記の荒川岳の他、塩見岳の北方仙塩尾根の稜線上に北荒川岳(標高2698m)がある。非常に目立たない小ピークだが、三角点があり、また周囲は規模の大きな高山植物のお花畑となっている。


 塩見岳

山頂は100m足らずの距離を隔てて西峰と東峰に分かれ、標高は西峰が3,047m、東峰が3,052mである。しかし三角点は西峰に設置されているため、低い方の西峰の標高が塩見岳の標高とされている。仙丈ヶ岳から続く長大な仙塩尾根の南端に位置し、ドーム形の山容に特徴がある。山頂南側の三伏峠と本谷山南斜面、北側の北荒川岳周辺と熊の平周辺は高山植物の「お花畑」となっており、特に北荒川岳の「お花畑」はかなり広大である。

山頂直下北面の塩見岳バットレスは冬季に雪稜登攀の対象となる。


 蝙蝠岳

蝙蝠が翼を広げたように見えるところから蝙蝠岳(標高2865m)と呼ばれる。塩見岳の南東に位置し、主稜線からはずれ南アルプスの秘境といわれる。ここはまさに山上の楽園で、美しいハイマツと岩礫、多くの高山植物が咲き乱れている。


 グーグルマップ

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